夢が詰まった幸せの味「のり平チョコ」
葛飾の斉藤さんが手作り品をネット販売

  記事/2013/02/01掲載                                                                         

「わぁ~! きれい」…。箱を開けると思わず声が出る、彩りも美しいバラの花の形のチョコレート。葛飾区柴又の斉藤永江(のりえ)さん(51)が作る、その名も「のり平(へい)チョコ」。
 フランス産、ベルギー産のチョコレートを使い、アールグレイやラムレーズンなど、洋菓子に使われる素材から、黒ゴマ、ゆず、抹茶など和のテイストまで、バラエティー豊かな味も魅力。店舗はないが、インターネットのホームページで製品を紹介し、希望者からの注文を受けている。価格は1粒210円から。「のり平」は、その名の読みから、友人がそう呼ぶ永江さんのニックネームだ。
 永江さんは栄養士、製菓衛生士の資格を持ち、週に3日、区立保育園で調理の仕事をする一方、自宅で「大好きなお菓子作り」をしている。チョコレートのほかに、ケーキや和菓子も作っており、サロンコンサートや野点(のだて)などで出すお菓子の依頼も受けている。
 菓子作りのほかにも、葛飾区の区民記者として記事を書き、お年寄りと話をする傾聴ボランティアの活動も。さらに二人の子供を育てた母親でもある永江さんは、「被災地の子供たちに楽しい時間を過ごしてほしい、笑っている子供を見て親に安心してほしい」と、東日本大震災の被災地に、チョコレートや一緒に遊べるおもちゃを持って単身で数回訪問し、「今後もライフワークにしたい」と話すなど、計り知れないバイタリティーの持ち主だ。
 永江さんが、お菓子作りに目覚めたのは小学生のとき。「いとこに連れて行ってもらった中学校の学園祭で、手作りクッキーを食べたのがきっかけでした。それまでクッキーはガリガリしたものというイメージだったけど、バターの香りと、サクサクした食感の手作りクッキーを食べて『ケーキ屋さんになりたい』って」。中学に入って以降6年間、学園祭では夢だったクッキーを作り続けた。
 高校で進路を決める際、まだ「パティシエ」という言葉も一般には浸透していない頃で、菓子職人は男性のイメージが強く、先生から、「夢は分かるが、女の子だし大学に行っては」と勧められ、栄養士の資格が取れる家政科へ進学した。しかし、夢は消えることなく、卒業後3年間会社員として働いて資金をため製菓学校へ入学。和菓子と洋菓子を学んだ。
 卒業後に就職したケーキ屋で、フランスで勉強した店の奥さんが自宅で作るチョコレートに出会い、「まるで宝石のようにきれいで、こんな素敵なチョコが人の手で作れるんだと感動して」。頼み込んでチョコレート作りを教えてもらい、以来20年以上作り続けている。
 夫の友人のケーキ店にチョコレートを卸したり、地元の喫茶店で出すケーキを作ったりしたこともあったが、3年ほど前、友人にあげたチョコレートがきっかけで、一度に20箱の注文を受けた。その後も「好評だったから」と注文を受けるようになり、「もしかして私のチョコって喜んでもらえてるのかな」と、少し自信がついた。同じ頃、友人がホームページを作ってくれ、知人以外からも注文が舞い込むようになった。
 チョコレート作りには温度が重要で、自宅で作るのは寒い時期に限られ、今は最適な季節。研究して珍しいものを作るのも大好きで、「八丁味噌」を練り込んだものや、ボール型に惑星のような彩りを付けた「地球(テラ)チョコ」など、ちょっとほかでは手に入らないようなものも。
 「すてきなチョコを作れる人になりたいという夢がかない、冬になると大好きなチョコに囲まれる時間が過ごせる。チョコレートは私にとって『夢の形』」と永江さん。「のり平チョコ」には、幸せな気持ちがたくさん詰まっている。
 お菓子の種類の問い合わせ、購入希望などはホームページ「チョコレートショップ・のり平」から。